■ 洋  Westan Stile

 これらの作品は、日本国内に関して言えば、ドールハウスやルームボックスと呼ばれる類のものです。

 ドールハウスは古来より、個々のコレクターや作り手が自由な形で自分の思い描くハウスを演出し、作り上げて来たものです。実生活と同じように季節によってレイアウトを変え、月日と共に中身を充実させ、また時には模様替えをしながら永遠に楽しめる自分だけの夢の家であり、これで完成と言った区切りもありません。
 このような見地から、ミニチュア先進国の欧米では、ドールハウスは作家が(完成された)作品として提供するものでは無く、個人の趣味趣向により生み出された結果であるとしています。更に以上の理由から、「ドールハウス作家」なるものは存在しなとさえ言われています。

 とは言うものの、皆さんも周知の通り、わが国では私をはじめドールハウス作家は確かに存在します。歴史的背景のない日本において、それはコレクションとしてよりも、単純に一から作って楽しむクラフトとして、ここ二十数年の内に確実に定着してきました。ドールハウスが前述のように「個人の好みにより生み出された結果」である限り、我々の言うドールハウスが、世界から見たそれとは確かに異なっているのは事実です。しかし独自の「ドールハウス文化」がこの国に根付いて来たことも、また事実だと思うのです。私はドールハウスが絵画などと同じように、個々の感性や心を伝える一つの表現方法であり、立体造形として一芸術分野になり得るものだと思っています。

Hiroyuki Kimura

ジョージアン・ダイニング  Georgian dining

ジョージアンスタイルのダイニングルームです。ジョージアンスタイルとはイギリスのハノーバー朝の国王、ジョージ1世~4世の時代に普及した建築・工芸の様式で、1600年台にイギリスで普及し、その後アメリカへ伝えられました。アメリカで仕事をすることの多い私達にとってとても馴染み深いスタイルで、今回はダイニングの一室を表現しました。私達の最も得意とする建物の内外一体の技法で、窓の外の景色まで含めてお楽しみ下さい。照明器具はScott氏(米)の手によるもの、奥のコーナーキャビネットと左手前の家具はGeoffly Wonnacott氏(英)の指導によりKyokoが制作したものです。

※レイアウト協力 中村和子 氏 2015  Hiroyuki & Kyoko



ラ・フネ  La Fenetre

こちらは2011年6月IGMA(国際ミニチュア作家協会)が行うスクールに参加して指導を受けながら制作したハウスです。この作品のインストラクターのご夫婦は世界的に高名なハウス作家であり、数年前パリを旅行した際、近代的な高いビルの間にたたずむ、時代に取り残された小さな建物に感銘を受けデザイン化したそうです。画家でもある講師独特の視点から、遠近法を大胆に取り入れた作品となっています。高齢の為、今年が最後となるお二人のレッスンに参加できた私は、大変幸運でした。ちなみにタイトルの「La Fenetre(ラ・フネ)」は窓と言う意味です。

※Noel and Pat Thomas(ノエル&パット・トーマス) 米  デザイン・制作指導  

2011  Kyoko Mikai 



ウインタータイム Wintertime

クリスマスを表現したドールハウスは見るのも制作するのもとても好きなので、幾つかクリスマス作品はあります。ただこの作品は、クリスマスをイメージする赤・緑・金・銀の華やかな色使いをせずに、緑色中心の落ち着いた色合いでカントリーのクリスマスを表現してみました。

また、こちらの作品の中にある小さな陶器はアメリカの作家Jane Graber(ジェ-ン・グレイバー)氏が制作した本物の陶器を取り入れた為、陶器の質感が作品全体を自然に見せることができました。

2010  Kyoko Mikai 


カントリー・ブルー  Country Blue

立体物の特徴を生かしながら、まるで一枚の絵画を見るような表現にしてみました。
アメリカカントリーのさわやかなプルーの部屋から、奥のダイニングを覗いていただく作品にした為、いろいろな角度からどこまで見えるのかを確認しながら、細部に渡り作り込んであります。
また、2階へ続く階段や外になる部分は最も気を配り、不自然にならないよう構図をし、光を入れることで違和感のない空間を演出しています。

2010  Hiroyuki & Kyoko 

 豹  Leopard

この年のシカゴショーで、きょうこが気に入って購入した豹柄の家具類。あえてステージを作らずにミニチュア単品を組み合わせて見せる手法を、先輩作家であり私達の友人でもある中村和子氏のアドバイスで実現した作品です。豹柄の家具に「豹」を置くと言う、ほとんど遊び心で楽しく作った作品ですが、豹は粘土製、ソファの表面は豹柄プリントの起毛した生地ですので、異なる素材である両者の質感に違和感を覚えさせないように、特殊な塗装方法で仕上げました。
※豹と植物は私たちの作品、他の小物類は欧米作家の手によるものです。コーディネート、アレンジは中村和子氏。

2008 Hiroyuki & Kyoko 


ガーデン  Gerden

私たちが植物を中心とした制作活動を始めて、ちょうど10年目となったこの年、その集大成として制作した作品で、とても気に入っている作品のひとつです。室内の素敵な椅子はソボル氏(米)の手によるもので、鳩時計は今年のシカゴショーで購入したものです。(作者は不明)

2008  Hiroyuki & Kyoko 

キッチン  Kitchen

2006年のアメリカで行われたIGMAショー(ミニチュアショー)で購入した、イタリアのミニチュアフード作家 Silvia Cucchi(シルビア・クッチ)さんの手によるキッチンキャビネットを自分達の作品に生かしたいと思い、それが似合うキッチンを一部切り取りで表現しました。食材にあふれ、自然に囲まれた家を想像していただければ、うれしく思います。

2007  Hiroyuki & Kyoko 



カントリーキッチン  Country Kitchen

窓の外をのぞくと、割と自然な形で背景が見えるように作られています。これは古くからある技法で、本体の奥行きを深く取り、窓と背景(写真又は絵)に一定以上の距離を置き、その間に光源を設ける(照明を当てる)ことにより、背景に窓の影が映りこむことを防ぎ、より自然な感じで空間を演出することができるのです。また、左のキッチンキャビネットに収まっている食器類、また所々にある鉢や壷はすべて木を加工して擬似的に陶器に見せています。他の作品の中にある、植物の鉢はすべて同じ技法で作られています。右手にあるストーブはクリスボン社(アメリカ)のプラスチックキットを使用。

2006  Hiroyuki & Kyoko 


スパニッシュガーデン  Spanish Gerden

私たちはそれぞれ、アメリカの国際ミニチュア作家協会(IGMA)の会員であり、ライセンスを取得しています。ライセンスにはカテゴリーがあり、Hiroyuki(木村)は「アニマルフィギュア(動物)」、Kyoko(美海)は「プランツ(植物)」を専門分野としています。2000年ごろからの二人の活動は、観葉植物と猫のミニチュア単体の作品作りに特化しています。これは「Hiroyuki & Kyoko」としては初となる合同作品です。二人の特徴を理想的な形で表現することができた、完全オリジナル作品であり、思い入れの強い作品です。

2004  Hiroyuki & Kyoko 

ヴィクトリアンハウス  Victorian House

ヴィクトリアンスタイルのお屋敷を一部切り取った変形スタイルの作品です。これはもともと3階建、全15部屋ほどの完成作品をイメージし、とりあえず端の一部分だけ・上2階部分を制作し、後から残り部分をつなげていく予定でしたが、時間が止まったまま現在に至っています。

1998  Hiroyuki Kimura 

ホワイトクリスマス  White X'mas

「貧しいながらも楽しい我が家」をテーマにした、自身初の本格的一軒家です。今後はわかりませんが、今現在クリスマスという特定の時間を演出した唯一の作品です。当初、面の銀世界をイメージし、屋根の上にもしっかり雪を積らせる予定でしたが、せっかくの屋根の作り込みが完全に隠れてしまうのが惜しくなり、急遽屋根の上の雪は半分程度に抑えました。雪は石粉粘土で雪面の土台をつくり、その上から重曹を振り掛け水で薄めたマットメディウムで定着させてています。

1997  Hiroyuki Kimura 

私の天使たち  My Angels

この作品は、一部屋サイズで作った初めてのオリジナル作品です。色をテーマに制作しようと考え、黄色ならどのような部屋になるかイメージしたところ、真っ先に思いついたのが「書斎」でした。今までキットで培った経験を生かして、本棚を含めすべての家具を一から制作しました。また、本は外観だけの見せ掛けですが、一冊ずつ背表紙を手書きしています。自分の思い通りの表現ができた最初の思い出として、私の天使(娘)2人の写真を飾ってみました。

1997  Kyoko Mikai 

泉  La Saurce

ドールハウスはプロの作家でも、時には既成パーツや他者の作品を、目的に応じて作品の中に取り入れます。これは制作当時「どこまで既成パーツを使わずに作れるか?」に挑戦した作品です。当初シャンデリア以外、すべてをオリジナルで制作してみました正面にある絵画は私の大好きな画家アングル(18世紀)の代表作である「泉※原題La Source」(この作品のタイトルにもなっています)を、アクリル絵の具を使用して油絵風に描きました。サイズも実物のほぼ1/12に仕上げてありますが、オリジナルを一部省略してあります(足元の水仙など)。シャンデリアは美海きょうこ(フィリス・タッカー(米)氏デザイン、指導)、の手によるものです。

1997  Hiroyuki Kimura