制作風景 / カントリー・ブルー  Country Blue

最初は相方Kyokoの爽やかなブルーを基調としたカントリー作品をという提案から始まったのですが、気が付けば大掛かりな作品になっていました。前面はタイトル通りブルーの壁にしながらも、目線を誘導させてるために、奥の部屋はあえて暖色系の色をもってきました。手前を浅く、奥を深くすることで、空間の奥行をより強調することが狙いで、見る側にとっては「覗かないと見えない」じれったさを感じる作品だと思います。他にも空間の広がりを感じさせる演出を随所にこらしてありますので、是非実物を見る機会がありましたら、じっくりと覗き込んで見てください。      

Hiroyuki & Kyoko 





■ 土台作り 

ハウスにしろルームBOXにしろ、まず土台(底)になる板を用意しその上に直接図面を書き込んでいきます。よほど複雑な造形物でない限りは、頭の中でイメージした物をダイレクトに形にしていきます。板の上に直接基礎となる部分を線描きし、角棒で柱をたてて骨格を作ります。



■ 壁を作る 

後後の作業に支障をきたさない部分から壁を作っていきます。ほとんどの場合。柱は10mm角のひのき、壁は3mm厚のシナベニアを使用しています。



■ マントルピースの準備 

この作品では市販のモールディングとオリジナルで加工したパーツを組み合わせて、マントルピースを制作しています。
※マントルピースとは暖炉のたき口を囲む飾り枠の棚の部分の事です。
※左の写真はパーツを選んでいるところ。右は仮組したマントルを壁にはめてバランスを確認しているところ。



■ 暖炉の制作 

マントルピースが出来上がったら、炉の部分の制作に移ります。炉は耐火レンガや鋳物、また耐火レンガと鋳物製の耐熱プレートの組み合わせ等々、色々な組み合わせがありますが、今回は耐火レンガのみのデザインにしました。
市販のレンガはもちろん本物なので質感等申し分ないのですが、固くて加工に時間がかかるので、私の場合写真の様にひのきの工作棒を良く使用します。



■ 続・暖炉の制作 

レンガのパターンが組み上がったら、中身が木だと分からぬよう下地処理をほどこし、レンガに見えるようアクリル絵の具で着色します(写真左)。同様に炉の奥の部分も同じように制作し、着色が済んだら目地を埋めます(写真中央)。



■ 床 

チェリーを製材し、オイルステインのオークで着色。微妙な光沢が欲しかったため仕上げにニスは使わず、荏油(えあぶら)を使用しています。



■ バランスの確認 

バランスや家具調度品のボリュームを見るために手元にある作品を色々並べてみて確認します。



■ その他もろもろ 

見ての通り階段、窓、ドア等々、順次仕上げていきます。外側はBOXで囲ってしまうため省略しています。



■ 全体 

全体を囲ったら、屋外に当たる部分に蛍光灯を仕込み、その後ベニヤでふさいでいきます。写真からも見て取れると思いますが、天井と正面右側(蛍光灯を取り付けた面)はメンテナンス用に開閉ができるようにしています。



■ 完成 

最後に前面を額装し、全体を塗装して仕上がりとなります。額装はカスタムオーダーすることもありますが、ほとんどの場合作品のイメージに合わせて自作しています。この作品ではブナ材をざっくりと加工し、オークで染めてみました。横にスリットを設け、ガラスをはめ込めるようになっています。

※Kyokoがマメに写真をとってくれていたので、カントリーブルーのメイキングを追加してみましたが、いかがでしたでしょうか。今後ももし記録が残すことがあれば「Making」を増やしていきたいと思っています。